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および近隣諸国の海域における石油生産開発の大型プロジェクトも急ピッチで進められている。
これらの大型プロジェクトを実現するには、新たな技術開発が必要となってきている。これまでの技術開発の主眼は、経済的に効率的に、安全にかつ大量急速に造ることが重点であった。しかし、これからは人と地球環境と共存・融和を目指す技術が重要されております。作業船においても今後ますます多様化し、幅広い機能を有する技術開発が必要と思われる。このため、今後の作業船の技術開発を進めていくにあたり、次のようなものがあると考えられる。

 

?@新しい施工技術の開発
?A環境保全技術の高度化
?B施工技術の高性能、高能率、高精度化
?C省力化施工技術の開発
?D作業環境および居住環境の改善

 

などであろう。
次に、具体的に構造物工事用作業船(主として大型起重機船)の主な技術開発の課題について述べる。

 

(1)船体動揺制御に関する技術開発のニーズ
わが国の起重機船の殆どが港湾工事型である。したがって、耐候性向上の主目的は、長周期の波浪(うねり)に対して船体の動揺を伴うことによって起重機の機能が発揮できない問題の解決が重要課題である。
これらの対応方法としては、従来方法としては、従来から存在している[SEP]方式、[セミサブマーシブル]方式で対処されてきたが、起重機船の持つ特色である搬送機能を制限することや荷受け台船の動揺の解決に適切な手立てがないので、根本的な問題の解決にならない。
したがって、この2形式以外に起重機船の船体動揺を制御する新たなシステムの開発が望まれる。
現在研究対象とされているものとしては、ダイナミックバランス方式の減揺システムや水バラスト移動方式のモーメント調整システム等があり、近未来技術開発として今後の完成が期待される。

 

(2)回航時の安全性向上と外洋工事への対応
現在の起重機船が持つ問題点の一つとしては、回航時の安全性の確保がある。特に、ジブ起伏式の起重機船では国内工事のみの例を見ても回航準備費を含む回航費用の合理化対策は重要な問題である。
これらの解決すべき課題は、今後総合的な対応策として、港湾工事型の外洋工事型への改良という方向に取る必要があると思う。この問題は、稼働ニーズの変化と国際化が避けられない時代の流れの中で作業船の基本技術である船体構造や作業機構の見直しを含めて適切な対応が求められるものと考えられる。

 

 

 

 

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